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【後半】ISUがパトリック・チャン選手の特別インタビューを掲載。新世代の台頭、今後の戦略、新プログラムの制作秘話を語る。

      2016/11/16

 

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今回は数日前に投稿した、ISUによるパトリック・チャン選手の特別インタビュー文の和訳の続きです。新世代の台頭やそれを受けての今後の戦略、そしてフィンランディア杯で披露した新プログラムの制作秘話などが語られており、今回も非常に濃厚な内容になっていますので、興味を持たれた方は是非続きをご覧ください。

 

 

✔パトリック・チャン選手の特別インタビュー【後半】

 

◯元記事へのリンクはこちら

○和訳の前半はこちら

 

Q:アイスダンサー達と共に練習することについては?

Patrick:やはり通常とは異なると思います。多くのシングルスケーター達が僕がやっていることを不思議に思っています。最初は慣れるのに大変で、一周間かかりましたね。しかし、今では彼ら全員が僕の友達ですし、僕のことをよく分かってくれています。一度お互いの練習のやり方を理解すれば、とてもスムーズになり楽しめるようになるものです。

 

Q:彼等から学んだものとは?

Patrick:ずばりスケーティングの質です。これは僕の強みであるものの、常により良くすることができます。技術面だけでなく、僕には常に助けが必要となる分野があるのです。オレグ、マリナ、ジョニーは、スケーティング、ジャンプ、そしてそれらを統合することについて、本当に協力的です。

僕はスケートの競技者として、以前よりも楽しめるようになりました。何故かはわかりませんが、やる気に溢れ、試合に対してワクワクする気持ちで練習に向かっているんです。これは、長い間僕が持っていなかったような感情です。

 

Q:ネイサン・チェンがカントンのあなたのチームに参加しました。彼と一緒に練習するのはどうですか?

Patrick:彼とは楽しいことや馬鹿なことだけでなく厳しい練習もしましたが、マリナや僕達の個性は丁度良い釣り合いがとれていると思います。僕達が騒いで、マリナがそれを良からぬ方向へ行かないよう制止し、やるべきことはやったのかと確認する。それには素晴らしいエネルギーを感じます。

 

 

Q:ネイサンはフリー・スケーティングで5本の4回転に挑みました。どれくらい驚異的なことでしょうか?

Patrick:これは新世代の台頭を明らかにした事だと思います。丁度僕がシニアで国際的に成功するようになった時のように、カート・ブラウニングやエルヴィス・ストイコが演技をしていた時とは異なる時代になったのです。僕はそれが次世代の到来だと思います。それはワクワクすることですし、4回転ジャンプを何本も跳ぶような選手と毎日練習できるのは幸運なことです。(毎日見ているので)そのことについて驚くことはありませんでした。

僕達は、時にお互いを助けることができますので、それは物凄く有利です。当初は、僕にとっては壁になっているジャンプを、若いスケーター達が簡単に跳ぶのを見ていて心が穏やかではありませんでした。しかし、それは捉え方の問題であり、今ではそれを有利な点だと考えています。

 

Q:あなたは「昨年の最大の失敗は、他のスケーターの動向に意識を割きすぎたことだ」と言っていました。

Patrick:昨年は少しばかり常識を逸していました。復帰するなり、4本の4回転とか、3本の4回転を目にすることになったわけです。当初はまさに「ああ、神様。これは無理だ。どうしたらいいんだ。対抗できっこない」という具合でした。でも今ではそう考えるのは馬鹿らしくなって「なるほどね。そういうものだから仕方ないさ」と考えています。

これがきっかけになって、他のスケーター達がしていることに対して意識を集中しなくなりました。僕はもう既に彼らが何をしようとしているかはわかっているので、これ以上気にすることはないのです。そもそも僕は四回転フリップ、四回展ルッツ、四回展サルコウ、四回転トウループを跳ぶ選手と一緒に練習しているのですから、試合でもそういったことを気にする必要はありません。他のスケーター達がどの種類の四回転を跳んでいるのかと気にして、自分にこれ以上のプレッシャーをかけるのは意味がないと悟ったのです。

それよりももっと大切なこと、それは練習での日課をこなし、計画に戻って、それをしっかりりやり通すことです。マリナは僕の強みが何で、四回転を3本や4本もする選手達に対抗するにはどんな挑戦をする必要があるのかを知っています。

僕は今4回転サルコウに取り組んでいますが、調子は上々です。オレグが4回転サルコウの技術的な面で素晴らしい指導をしてくれていて、練習ではおそらく5本に3本は降ります。僕はそれを5本中4本にしてからプログラムに入れたいと思っています。

さて、これはスケートカナダでやろうと思っていることなのですが、やはりここで早期の大会(フィンランディア杯)に出場したことが生きてきます。何故なら、より自信をつけてからスケートカナダに向かうことができるからです。僕は(フィンランディア杯では)2本目の4回転ジャンプを後半に配置したのですが、これが一つの挑戦となりました。これは4本の4回転を跳ぶスケーター達への対抗策であり、自分にとっては3本や4本の四回転のようなものなのです。今シーズンの最大の目標は、2本目の四回転トウループと、冒頭の四回転サルコウの両方を世界選手権で跳ぶことです。

これは僕にとって、非常に大きな目標となることでしょう。そしてその達成=表彰台となってほしいです。その後の結果は自分ではコントロールできません。僕が管理できるのは、プログラムの中で予定していることだけです。

 

Q:あなたのフリー・スケーティングの音楽『A Journey』は特別なものだと。

Patrick:フリーのプログラムはエリック・ラドフォードによって作曲されたものです。彼がピアノを弾くことを知っている人は多くありません。彼はカナダにおける最高の資格、王立音楽院の証明書(Grade 9 Royal Conservatory of Music certificate)を保持しているピアノのマスターです。

僕達がとあるレセプションに出席していた時、彼がロビーにあったピアノを弾き始めました。それを聴いていた僕は「この曲は素晴らしい。これは誰の曲で、なんという曲だい?」と聞いたところ、彼が「僕が書いた曲だよ」と教えてくれたのです。その曲を聞いている間、僕はその曲に合わせて滑る自分が見えました。これが『A Journey』の始まりで、今もその取り組みは続いています。

彼が(フィンランディア杯の)ショートプログラムを終えた後、僕のプログラムについて話しをしました。彼はそういう思いやりのある人なのです。彼は「前に君のフリープログラムの音楽を聴いていたんだけど、もっと深みを与えられるような部分があることに気が付いた」と教えてくれたのですが、僕はその時「素晴らしい。そのことが聞けて嬉しいし、もちろん賛成だよ。そう言われてみれば、そういう風にも聴こえる」といった具合でした。ですので、これからも移り変わっていくでしょう。この曲はシーズンと共に変化して行くと思いますが、それはとてもワクワクすることです。

これは作曲家の友達がいることの有利な点です。彼は継続的に音楽を進化させることができます。他の人にはできないことなので、これは夢のようなことです。エリックは作曲の天性の才能についてそういった承認(前述の証明書のこと)に相応しいと思います。作曲ができて、なおかつ高いレベルのアスリートである人物は、世界を見渡してもそう多くはありません。これら二つは全く異なる分野であるにもかかわらず、かれはその両方をやっているのです。

彼はスケーティングのリズムを理解していて、そしてそれは曲の中に表れています。デイヴィッド(・ウィルソン)と僕がプログラムの振り付け作業をしていた時、本当に曲それ自体が自らを振り付けしているようでした。彼は元シングルスケーターでしたので、無意識にやったことなのかもしれませんが、その曲は(自分のような)シングルスケーターにとっても自然なものでした。

 

Q:あなたのショートプログラム、ザ・ビートルズより『Dear Prudence』と『Black Bird』は、元々ショープログラムだったと。

Patrick:このプログラムは自分が心から楽しめるものになりました。僕はショーのプログラムとして、本当に気に入っていました。これが競技用のプログラムになるとは考えていませんでしたが、パスカーレ(・カメレンゴ)は素晴らしい仕事をしてくれました。凄く上手く行っていて、心地よいです。ジャンプに向かう上までのパターンは絶妙に設定されています。自分について言えば、ジャンプをする時に正しいマインドセットで跳べますし、集中力を切らさずにできています。

 

Q:フィンランディア杯はスケートカナダの準備になりましたか?

Patrick:マリナがこの大会の準備のために手はずを整えてくれたのですが、前まではスケートカナダの前にこの大会に出るとは思っていませんでした。結果として、僕は本当に調子が良く、この大会で沢山の自信を得ました。また、プログラムのこと、そして新しいコーチとの相互的なコミュニケーションのとり方など、観客の人々からは見えない事を多く学びました。

結果についてはとても幸せな気持ちです。もちろん、もっと良くできると思いますが、それは時間とともに付いてくるでしょう。スケートカナダまでは2.5週間まであります。グランプリの最初の大会に怯えるのでは無く、その前にこういった大会に出場することによって、僕は今とてもワクワクしていますし、少し自信も付きました。

おそらく、僕達はこれからより多くの通し練習やシュミレーションを始める予定です。これはこの大会に出場する上でもやってきたことであり、今後もそうすると思います。大会を模倣し、一つ一つ進めていきます。これがそれぞれの通し練習により緊張感をもたらすのです。今大会でもこれらの練習に助けられましたので、次のスケートカナダではより多くの恩恵が得られるでしょう。

 

Q:インタビューに応じていただき、ありがとうございました。今シーズンの成功を祈ります。

 

******

パトリック選手も今年の12月で26歳。シングルスケーターとしては年齢的に「晩年」にあたる時期ですが、インタビューの受け答えがにじみ出るエネルギーはとても若々しく、まるで20歳くらいの全盛期の選手の話を聞いているようです。

文中でも取り上げられたネイサン・チェン選手は、宇野昌磨選手やボーヤン・ジン選手といったスケーターよりも更にもう一段年齢が若く、20代以下の層が如何に急激に実力をつけているかを物語っていますが、パトリック選手もまだまだ戦えるぞと、そう思わせてくれるような特別インタビューだったように思います。

 

 - ◯フィギュアスケート, パトリック・チャン

たつまに
男でフィギュアスケートにハマってしまった学生。羽生結弦選手は、人間としてもスポーツマンとしても、尊敬している人物です。。twitterもしていますので、フォローしていただけると嬉しいです↓↓

Comment

  1. meiling より:

    こんにちは。
    こちらの貴重な情報、翻訳記事を楽しみにしています。

    今回のチャン選手のインタビュー大変興味深く拝見しました。ほんとうにありがとうございます。
    チャン選手の心境、前を向く気持ちが素直に語られていてすがすがしいですね。
    真央さんのことを思いおこしました。きっと同じような境地でがんばっているのでしょうね。
    プログラムの完成を楽しみに、きっと世選で最高の演技を見せてくれることでしょう。

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