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世界選手権2017 羽生結弦選手のSPの考察! ―明暗を分けた「2つの落とし穴」 今季最高は目前だった?―

   

 

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いつもは「海外の反応」という形式で書いていますが、今回は「考察」という形で細かい部分にフォーカスして羽生選手の世界選手権のSPを見ていきたいと思います。

興味を持たれた方は是非続きを御覧ください。

 

■羽生選手のSPの考察

 

 

今回の羽生選手の演技の中には2点ほど失点に繋がった部分がありました。

いきなりややネガティブな話題を書くのは気が引けますが、まずはここを説明しないと全体的な考察に移れないのでそれらの点について簡潔に書いていこうと思います。

その2点の失点とはなにか。まずは羽生選手の演技のプロトコル↓↓を御覧ください。

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赤枠で囲っている①、②が今回失点に繋がった部分です。

 

①-1.00のディダクション(減点)

今回、羽生選手は転倒等はしていないのに-1.00のディダクションが付きました。生放送で見ていて「あれ?これなんで?」と思われた方は結構多いんじゃないかなぁと思うのですが、これについてはフジテレビの放送で本田さんの解説がありました。

原因は演技の開始遅延でした。いわゆる「30秒ルール」というやつですね。名前をコールされてから30秒以内に演技開始地点に行き、静止しなければいけないのですが今回は30秒を超えてしまっていたようで、そのため-1.00のディダクションがつきました。

 

②4S-2Tの2Tが無価値化され、GOEが全て-3になった原因

どちらかと言えばこちらの方が重要な点になります。

羽生選手が実行した4S-2Tは結果として4S+CONBO+2T*となり、「4Sのみのコンビネーションジャンプ」という扱いになって2Tは0点になってしまったわけですが、この点についてルールに基いて説明をしていきます。

実はこの扱いにつきましてはISUが発行する公式資料に明確に規定されています↓↓

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この文章を簡単に言えば、コンビネーション・ジャンプにおいて、ジャンプとジャンプの間で転倒したり、ステップアウトしたり、よろめいて(体重移動の伴う)着氷足じゃない方の足(フリーフット)が氷に触れてしまうと、その後に跳んだジャンプは0点になりますよ、という意味なのですが、羽生選手は最初の4Sの着氷直後に「よろめいて」フリーフットが氷に触れてしまいました。

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このため、最初に跳んだ4Sの基礎点のみが残り、2Tは0点になってしまったということになります。

 

そして、もう一つ注目すべき点は、この要素のGOEの評価が全て-3になっていることですが、これも明確に規定されています。

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赤枠部分の翻訳は「ショートプログラム:ジャンプが一本のコンビネーションジャンプはGOEが必ず-3と評価される」です。

羽生選手は2Tが無価値化されてしまいましたので、4S-2Tは「4Sのみのコンビネーションジャンプ」となりましたので、これに引っかかります。 最初の4Sだけで見れば、全ての審査員に-3つけられるほどじゃなくない?と思った方もおられると思うのですが、その裏にはこのような規定があったというわけでした。

羽生選手が4Sの後につけたタケノコ2Tが非常に美しかっただけに、これは本当に、惜しかったなぁという感じがします。

ということで、失点についてはこれで解説を終わります。

 

本当に、ミスはこの2点だけだった。

前半で2点の失点について書きましたが、裏を返せば本当にミスらしいミスはこれだけで、その他の要素は間違いなく今季最高レベルの質で成功しています。

今回の羽生選手のSPの加点の合計点は+6.49点ですが、これは4Sのコンボで-4.00点引かれたことを考えると驚異的な数字です。

今季最高の106点台をマークしたGPFの時の加点の合計は+9.43点でしたが、もし今回4Sコンボがそこそこの質で決まり+0.00になっていれば、加点の合計は+10.49になり、GPFを上回っていました。 また、これはかなり控えめな加点で、通常の羽生選手であれば+2.00はつくので、普段通り降りていれば+12.49はついていたことになり、少なくとも109点台は行けたことになります。

もちろん、結果としてはミスになり順位としては5位という形にはなりましたが、これを「退行した結果だ」とするのは僕は違うと思います。全体的にミスが重なり、98点台になっていたのであればそれは確かにまずいと思いますが、今回はそうではありません。

「あと一歩だった」そう表現したいですね(その”一歩”が大きいのかもしれませんが)特にステップとスピンは今回が一番好きだったかなぁ。

 

さて、明日には緊張のフリーが始まりますが、正直全く読めません。ただ一つ言えることがあるとすれば、「何が起きてもおかしくはない」ということです。ジャンプが抜けちゃうかもしれませんし、鬼神・ハニュウが降臨するかもしれません。 今季最大にドキドキしています・・・!!!!!!!

今からリアルに花見へ行ってくるのですが、「はなよりだんご」ではなく「はなよりワールド」になりそうです。

 

■オマケ

ステップの前で「ニコっ♡」としたであろう羽生選手。

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 - ◯フィギュアスケート, 羽生結弦

        
たつまに
男でフィギュアスケートにハマってしまった学生。羽生結弦選手は、人間としてもスポーツマンとしても、尊敬している人物です。。twitterもしていますので、フォローしていただけると嬉しいです↓↓

Comment

  1. あき より:

    詳しい解説をありがとうございます。とてもよくわかりました。
    ただ、1つわからないところがありまして、あまりに基本的な疑問でお恥ずかしいのですが、教えていただけますか。失点につながった②でコンビネーションにならなかったジャンプはGOEは-3とのことですが最終的には-4になっています。クワドの転倒はGOE-4という認識だったのですが、クワドについてGOEが-3になるものは最終的には-4となるということなのでしょうか。

    • たつまに たつまに より:

      GOE-3っていうのはあくまで「GOE係数」と呼ばれるもので、実際の減点/加点の数値では無いんです。
      例えば、3TでGOE係数が-3であれば実際の減点は-2.10点だったり、
      4TでGOE係数が-3であれば実際の減点は-4.00点になったりと、技によって実際の減点/加点の数字が変わってくるんです。

      クワドに関してはGOE係数が-3になったものは全て-4.00の減点なので、
      >クワドについてGOEが-3になるものは最終的には-4となるということなのでしょうか。
      ↑の認識で問題ないです!!

      因みに、各技に対するGOE係数と実際の加点/減点の関係をまとめた表がこちら↓です。
      http://static.isu.org/media/1003/2000-sptc-sov-and-goe-2016-2017_revised-july-14.pdf

      このあたりは結構ややこしいところですよね汗

      • あき より:

        たつまにさん、詳しいご回答ありがとうございます。いろんな意味でクワドはハイリスクハイリターンなんですね。
        ペアも女子もすごい試合でしたが今夜はいよいよ男子とアイスダンス。緊張で今から腹痛感じています。選手みんなが実力を発揮する神試合になることを祈りつつPC&テレビ前待機です。
        あ、ついでみたいですみませんが、いつもライスト情報ありがとうございます😊

  2. バックカウンターからの3Aが最高♡ より:

    すみません、ルールに疎いので教えて下さい。
    U選手はいつもフリーレッグが氷上をこすっています(今回のショートでも3Aがこすってました。)
    が、それは減点にはならないのでしょうか?他の大会でもいつもですし、本田さんも解説でダブルフットは日頃の練習の賜物と何かそれが良い事のようにおっしゃっていましたが、本来減点になるのではないのでしょうか?それとも何か減点とそうではないところの基準があるのでしょうか?
    あと、羽生選手の3Aの加点が抑えられていると感じるのですが、いかがですか?
    ジャッジの好みの問題でしょうか?
    ずーっと疑問に思っていたので、是非とも教えていただけると有難いです。どうぞよろしくお願い致します。

    • たつまに たつまに より:

      タッチフット(片足で着氷したが直後にフリーフットが氷に触っちゃった)の場合はGOE-1の評価、
      ダブルフット(両足で同時に着氷)の場合はGOE-3の評価になるので、もしそれに該当することをしていたとすればGOEの面でマイナスの評価をされます。
      ただ、特にタッチフットなんかがそうですが他の加点要素との足し算で最終的にGOEがプラスになることはあります。
      一方で、ダブルフットはそもそも回転が足りてない場合に起こることが多いので最終的にプラスに傾くことは基本的にはないです。

      あと今回の羽生選手の3Aに関しましては、確かに満点来てもおかしくない質だったと思います。
      ただ、GOEの計算は非常に多くの項目で成り立っており、おそらくプロのジャッジでも全てを考慮して評価するのは無理だと思うので、多少のムレは仕方がないと思います。

  3. 桂子 より:

    たつまにさん、いつも的確な解説で勉強になっています、有難うございます。ただ思うのは、今シーズン、羽生選手に対してジャッジはかなり控えめにGOEを付けているのでは…と思う事が度々あったように思うのですが…たつまにさんから見てどう思われますか?本当に今回の3Aなんて3点以上ついても良いんじゃないかと思うほどだったんですけどねぇ…。なるべく多く付けないようにしようって自重しているんじゃないの⁉︎なんて素人考えで勘ぐってしまいます。
    コールが鳴ってからのスタートが遅かったのはオーサーコーチなど注意する事で解消出来たのに…とも思ってしまいます。まぁタラレバを言っていても仕方ないんですけど。
    4Sの後のタケノコ2Aは羽生選手の意地とオリンピック金メダリストのプライドの表れだったんだろうなぁと…本当に残念でした。
    FSもたつまにさんの解説待ってます。
    あ!そういえばオマケのニコちゃん昨夜Twitterで見ましたよ〜可愛い笑顔でした❤️
    羽生選手は今回大変体調が良いという話…。余りに良過ぎて4Loの後、勢いがつき過ぎた…のかしらとか思ってしまいます💦

    • たつまに たつまに より:

      ん~~~~正直その辺は何とも言い難いですね。

      試合とか実際に見てみるとわかるんですけど、カメラ越しの映像と固定された席に座って見る様子って結構違うんですよね。
      なので、もしかしたらジャッジ側の席から見た時に加点満点に至らなかった何かがあったのかもしれません。

      まぁ、この辺に関しては正直なところわからないです汗

  4. reimie より:

    わかりやすい考察、有難うございます。コメント欄の質問&回答でさらに理解できました。
    試合後は状況をのみ込めずうろうろ、1日経って涙が溢れ、今日のフリーを見るのが辛かった。でも挽回できる点差であること、安心しました。羽生くんはやると信じて、彼の渾身の演技を見守ります。みんなの祈り、エールが彼を後押しできますように!

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