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2017-2018シーズンの技術要素(基礎点、GOE係数、GOEの評価観点)のルール変更のまとめとその所感。

   

 

 

さて、今年もルール変更の時期になりました。今回は、五輪シーズンとなる2017-2018シーズンにおける技術要素(基礎点、GOE係数、GOEの評価観点)のルール変更が公式サイトで公開されていましたので、今回はその詳細と個人的な感想をまとめていきたいと思います。

 

2017-2018シーズンの技術要素のルール変更まとめ

 

※公開された公式文書はこちらから閲覧できます。

※当ページはシングル種目(男子シングル&女子シングル)にスポットライトを当てています。

 

1. 基礎点とGOE加点関連

 

今年は変更なしです^ – ^

 

2. レベル要件(ステップ)関連

ここではステップのレベル要件(何を満たしたらレベルアップに繋がるのかを規定したもの)に関するルール変更をまとめています。

 

第4要件(3連続の難しいターン)の変更

2016-2017シーズン:シークエンスの中に明確なリズムで実行する難しい3つのターンの組み合わせを、各足で異なるものを1つずつ。

2017-2018シーズン:シークエンスの中に明確なリズムで実行する難しい3つのターンの組み合わせを、各足で異なるものを1つずつ。ただし、評価されるのはそれぞれの足で試みた最初のコンビネーションのみとなる。

 

解説&感想

「難しいターン」(またはステップ)とは、ツイズル・ブラケット・ループ・カウンター・ロッカー・チョクトウのいずれかであり、これらを3つ組み合わせて実行するコンビネーションが「難しい3つのターンの組み合わせ」の定義です。(以下3連と表記します)

ターンは片足で実行するものですので、同じ技でも右足なのか、左足なのかで明確に区別されるわけですが、2016-2017シーズンまでは、何回か失敗してもとりあえず右足で1回、左足で1回、3連が成功していたらレベル要件を満たすことができ、レベルアップに繋がっていました。

例えば、以下のようなケースは要件を満たしていることになっていました。

1回目:右足3連 成功○
2回目:左足3連 失敗×
3回目:左足3連 成功○

しかしながら、2017-2018シーズンからは最初の左足の3連で失敗してしまった場合、次の左足で成功しようがレベル要件を満たすことができなくなります。

苦手な足の3連の数を2本に増やし、保険をかけておくという戦略が広く使われていただけに、これは地味に大きな影響を与えるのではないかと思います。一方で、易化された変更点は見当たらないので、ステップのレベル要件に関しましては、純粋に厳格化されたと言えると思います。レベル4がより貴重な存在になるでしょう。

 

3. GOEの評価基準関連(ジャンプ、スピン)

ここではジャンプとスピンのGOEの評価基準(何を満たしたらGOEが上がるのか、何をしたらGOEが下がるのか)に関するルール変更をまとめています。

 

3.1 ジャンプ

 

◆GOEのプラス要素の第二観点の変更

2016-2017シーズン:明確ではっきりとした(SPではさらに、難しい)ステップ/フリー・スケーティング動作から直ちにジャンプに入る。

2017-2018シーズン:明確ではっきりとした(SPではさらに、独創的で、面白く、オリジナル性のある)ステップ/フリー・スケーティング動作から直ちにジャンプに入る。

 

解説&感想

GOEのプラス要素の観点とは、8つの「何を満たせばGOEが上がるのか」が列挙されたものであり、実際の試合では、これらの項目をいくつ満たしているかによってその技のGOEが決定されます。(因みに、2項目で+1, 4項目で+2, 6項目で+3)

今回の変更点はその8つのうちの1つである、「ステップ/フリースケーティング動作から直ちに行われるジャンプ」の項目です。この項目において、これまではSPでは付加的に「難しい」要素を追加する必要がありました(SPの方がジャンプの数が少ないからだと思われます)が、来季からは「独創的で、面白く、オリジナル性のある」と言う文章に置き換えられました。

この項目に関しては、難易度的な面よりも、その選手の個性や芸術性を重視する方向にシフトしたということでしょうか。一概に厳格化されたとか、易化されたとかは言えませんが、芸術性の高い選手にとってはプラスになったのではないかと思われます。

 

◆GOEのマイナス要素の変更

2016-2017シーズン:(SP限定)一つのジャンプのみからなるジャンプ・コンビネーションの最終GOEは必ず-3

2017-2018シーズン:(SP限定)要件に合わないジャンプ要素の最終GOEは必ず-3

 

解説&感想

GOEのマイナス要素とは、「こんなミスをしたら、GOEはこのくらい下げられるよ。」と言うものを規定したリストであり、最終的なGOEはGOEのプラス要素で得た点と、ここで計算されたものを合算した値になります。

ただし、中には例外が存在し、「これをしたら、GOEのプラス要素の得点に関わらず、この点になるよ」と言う地雷的なミスが存在します。その一つが、SPにおける「1つのジャンプのみからなるジャンプ・コンビネーション」であり、これをしてしまうと必ずGOEは-3になっていたのですが、来季からは「要件に従わないジャンプ」に範囲が拡大されます。

「要件」とはおそらくSPにおけるジャンプの要件だと思われますが、GOEが-3になるケースが増えたことは間違いありませんので、これは厳格化と言えるでしょう。

 

3.2 スピン

 

◆GOEのマイナス要素の変更

2016-2017:(SP限定)フライングスピンにおいて規定された空中姿勢が取れていない(GOEは-1から-2の減点)

2017-2018:足変えスピンにおいて、回転数のバランスが取れていない(GOEは-1の減点)

 

解説&感想

スピンもジャンプと同様に、GOEのプラス要素の観点、マイナス要素の観点が存在しますが、今回は後者に変更がありました。2016-2017シーズンまでは、SP限定で、フライングスピンをしたときに規定された空中姿勢が取れていなければGOEは-1から-2減点されるよという観点があったのですが、来季からはそれがなくなり、代わりに、「足変えスピンの前後で、回転数に凄い差があったらダメだよ」と言う観点が追加されました。

例えば片方の足のスピンが極端に苦手だと言う選手はこれでマイナスを食らうことになりそうですが、これに引っかかりそうな選手はパッとは思いつかないので、トップ選手にとってはそんなに大きな影響にはならないのではないかなぁと言う気がします。

 

4. その他の変更

ここではその他の変更について解説しています。

 

4.1 PCS関連

 

◆PCSの評価基準に関する新ルールの追加

2017-2018:転倒や深刻なエラー(serious error)などが一つでも存在するプログラムに対しては、いかなる項目においても10点満点の評価はつかない。

 

解説&感想

これまでは技術点と演技構成点はルール上では独立的に採点されてきましたが、来季からは転倒か深刻なエラーが一つでもあれば、満点はあげませんぞと宣言したのが今回追加された新ルールです。

ここで重要になってくるのは「深刻なエラー」の定義です。僕が確認する限り、その定義については記載されていないのであまり踏み込んだことは言えませんが、おそらく”e”のエッジエラーとか、ダウングレードとか、ステップアウトとか、これらのミスが深刻なエラーに含まれるのではないかと推測します。

過去に満点を獲得した演技はいくつかありますが、そのほとんどはノーミスの演技だと思います。なので、それほど大きな影響にはならないと思います。ただ、見る側としては確かに大きなミスのある演技で10点満点があると色々と炎上しかねないので、それらの対策にはなっていると思います。

 

4.2 ステップシークエンス関連

 

◆ステップシークエンスのパターン要件の一部削除

2016-2017:ステップシークエンスは、はっきりと認識できるものであり、また、氷面のほぼ全体(almost the full ics surface) を活用して行われなければならず、短辺フェンスから短辺フェンスへの長さを1回、あるいは長辺フェンスから長辺フェンスへの幅を2回活用しなければならない。上記が達成されない場合は無価値となる。

2017-2018:2016-2017:ステップシークエンスは、はっきりと認識できるものであり、また、氷面のほぼ全体(almost the full ics surface) を活用して行われなければならない。上記が達成されない場合は無価値となる。

 

解説&感想

ご存知の方はご存知の重箱のすみを突くようなルールなのですが、実はこれまでのステップシークエンスでは、短辺フェンスから短辺フェンスへの長さを1回か、あるいは長辺フェンスから長辺フェンスへの幅を2回活用(1往復)しなければノーバリュー(無価値)になるという規定が設けられていました。

このルールが実際に行使されたケースは極めて少ないと思われますが、最近では2016-2017シーズンのスケートカナダにおいて宮原選手のステップがノーバリューになり、ちょっとした話題になりました。

参考:宮原知子選手のステップがノーバリューと評価された理由について。 【スケートカナダ2016女子FS】

来季からはこの部分が削除されるので、上記のような辺の活用回数の規定をクリアしていなかったとしても、リンクを「ほぼ全体」使っていたとすれば無価値化にはならないということになります。

これまではステップの軌道がある程度制限されていたのに対し、来季からはその制限が無くなるため、より多様な軌道を描くステップを見れるようになるかもしれません。この変更点に関しては、この度のルール変更全体の中で唯一寛容化したと言える点ではないでしょうか。

 

5. 総括

今回はSP専用のGOEの評価と、一般的なステップの評価に関するルール変更が集中しており、また全体的には微妙に厳格化の方向に振れたと思います。これに関しては、昨シーズンにザヤックルールの緩和という大きなルール変更があったので、今回と合わせてプラマイ0といったところではないでしょうか。

ルール変更に関しましてはこれで終了ではありません。オフシーズン中は今後もどんどんと新しい文書が公開されていきますので、情報を仕入れ次第ブログで更新していきたいと思います。

 

 

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たつまに
男でフィギュアスケートにハマってしまった学生。羽生結弦選手は、人間としてもスポーツマンとしても、尊敬している人物です。。twitterもしていますので、フォローしていただけると嬉しいです↓↓

Comment

  1. やまぽん より:

    いつも詳細な情報をありがとうございます!

    PCSですが、意外とノーミスでない演技に10.0がついてます。
    昨季のユーロFSで、メドベデワ(2A)とハビエル(3A)に転倒があったのに10.0がついていました(メドベデワはINにひとつ、ハビエルはPE・CO・INで計5つ!)。
    今季ISUの技術委員をされている岡部さんが、この試合の放送(Jスポーツ)で苦言を呈していらっしゃったので、岡部さんの主張が通ったのかな?と思いました。
    ユーロはどうも採点甘い傾向にありますね。今季のハビエルも「転倒1・OT2・お手つき1」の演技に10.0が3つついてますから……ハビエルにはちょっと厳しい状況になるかもしれません。
    日本選手でいえば、羽生選手のNHK杯SP(4Lo相当踏ん張った)に3つ、宇野選手のWCのFS(3Lzのミス)に3つついてました。
    COとINにつくことが殆どなので、ミスしてもそこは評価してもいいと解釈していたジャッジが複数いるのでしょうね。来季からはノーミス前提となるなら、あまり見られなくなるかもしれません。

    SPの「要件に従わないジャンプ」に「ステップの不足した単独ジャンプ」が含まれるのかが気になっています。実際に試合になってみないと分からないかもしれません。

    長々と失礼しました。
    また新しい情報入りましたらよろしくお願いします!

    • たつまに たつまに より:

      >PCSですが、意外とノーミスでない演技に10.0がついてます。

      かなり細かく見てますね!僕はあまり調べもせずそんな無いでしょと思っていましたが、実際に調べて見るとたしかにいくつかありますね。
      2015-2016シーズンに入り300点超えをする選手が増えて来たあたりからPCSで10.00を見る機会が明らかに増えてきたので、ここらで10.00の敷居を少し上げたのかなという気がします。

      >SPの「要件に従わないジャンプ」に「ステップの不足した単独ジャンプ」が含まれるのかが気になっています。

      僕もそこが気になりますね。SPの要件といえば、例えばコンビネーション以外で同じジャンプを繰り返してはならない等のルールのことかなと思いましたが、あの場合はそもそも無価値化されてGOEは正直関係無いので、また別の枠組みなのかなと思っています。
      テクニカルハンドブックなんかを見てみても、それに該当しそうな明確な記述は見当たらないので、試合が始まってみないとわからないですね・・・・。

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