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【海外記事】ISU役員:「抜本的な改革」が起きる可能性がある

   

 

 

ここ数ヶ月の間、日本のネットニュース等でフィギュアスケートのルールの改革について報じる記事が複数公開されましたが、今回はその話題を最も深く取り扱った海外記事『ISU official: ‘Radical change’ could be on the way』をご紹介させていただきたいと思います。

中々濃い内容となっておりますので、興味を持たれた方は是非続きを御覧ください。

 

ISU役員:「抜本的な改革」が起きる可能性がある

 

※元記事はこちらから

 

「抜本的な改革」とは何なのか

ISU(国際スケート連盟)のとある上級役員は「フィギュアスケートにおいて、より優れた芸術性と競技性のバランスを目指すための”抜本的な改革”を視野に入れている」と語る。

この改革には4回転ジャンプ(ペアでは4回転スロウ)の基礎点の大幅な減点が盛り込まれる見込みだ。icenetworkが入手した提案書によると、男子シングルで成功例のある5つの4回転ジャンプ(ルッツ,フリップ,ループ,サルコウ,トウ)のうち3つ(ループ,フリップ,ルッツ)は10%以上基礎点が減点される。

「これはフィギュアスケートの未来に進展をもたらすための方針です。このスポーツにかつて存在した人気を取り戻すことを望んでのものです」これはISUのシングル&ペアスケーティング委員会の委員長であるイタリアのFabio Bianchetti氏がメールで書かれた内容だ。

その他の改革としては、既存の「ショートプログラムとフリープログラム」という構造を、「競技的指向の強いプログラムと芸術的指向の強いプログラム」というものに置き換えるとする案が含まれる可能性がある。2つのプログラムそれぞれで表彰が行われ、総合得点でも表彰が行われることになっている。

これに対し「いかなる事も起こりえます」とBianchettiとメールで答える。「現時点で何かを明言するのは時期尚早です。このルールの意図としては、技術部門・芸術部門・総合部門それぞれ3つの部門で異なるメダルを授与するというものなのですが、これがどの程度確定事項なのかを言うのは無理があります」

先述の基礎点の変更については2018-2019シーズンから施行される可能性がある一方で、これらの新プログラムの導入については2022年の次の五輪の後まで待つ必要があるかもしれないとのことだ。

 

技術点の重要性の拡大

2013年、2017年の世界選手権における男女シングルのフリープログラムの得点は、演技構成点と比較して技術点の重要性の移り変わりを示唆している。

2013年の世界選手権のフリープログラムにおいて2位と4位に着けたパトリック・チャンとハビエル・フェルナンデスは技術点よりも演技構成点の方が高かった。首位のデニス・テンは両要素においてほとんど同程度の得点を獲得し、総合銅メダルのユヅル・ハニュウはトップ4人の中で唯一、演技構成点よりも技術点の方が高かった。

その一方で2017年にはトップ4選手のそれぞれが演技構成点を大きく上回る技術点を獲得した。割合にすると、それぞれの選手の演技構成点の割合は、ユヅル・ハニュウが43.5%、ショウマ・ウノが44%、ボーヤン・ジンが42%、ネイサン・チェンが43.8%だった。

ただし、このような技術点の重要性の拡大は女子シングルでは比較的緩やかだ。2013年の優勝者であるヨナ・キムは技術点と演技構成点がほとんど同程度であり、上位8選手のうち3選手が演技構成点よりも高い技術点を獲得していたが、2017年では優勝者のエフゲニア・メドベージェワを含むトップ8選手中6選手が技術点の方が高かった。しかし、その6選手のうち少なくとも10点以上より多く稼いだのは3選手である。これは、2013年にはマオ・アサダが3Aを跳んだ一方で、2017年には上位8選手のうち一人として3Aを実行しなかったことがその理由として説明される。

 

ISUの方針と対応

ISUの提案では、トリプルアクセルの基礎点が6%減点され、ペアの4回転スローに関しては2桁の割合で減点が要求されている。後者に関しては、1つの要素が最終的な結果に極めて大きい影響をもたらすことを避けるためのみならず、選手達が4回転スローによって怪我を引き起こす可能性を懸念して提案されたものである。

また、実のところ、ISUは既に男子シングルやペアにおいて技術点の合計点に大きな影響を及ぼす案(2018-2019シーズンから施行)を承認している。これは、フリースケートの時間を30秒短縮し、現状4分30秒のところを4分にするというもので、男子のジャンプ枠は8から7に減少される。これは、演技構成点には最大値が存在する一方で技術点にはその制限が無く、一つのジャンプ要素を削ることで両要素の重要さを等しくすることがその意図だ。

●当ブログの参考記事:平昌五輪後に削減されるエレメンツ及び競技時間の短縮について改めて

また、ISUはGOE係数の幅を現状の+3~-3から+5~-5の11段階に増加させる案(2018-2019シーズンから施行)も既に承認している。

この時、得点については係数が1上がる/下がる毎に基礎点の10%加点/減点されるよう設定されることになっているが、現状ではこのような正規化は行われていない。

「得点の付け方に関しては、より論理的で、整合性がとれたものになるでしょう」とBianchettiは語った。「最大の効果は、GOEの幅を拡大させることで演技の質をより評価する点にあり、とても質の高い要素ととても質の悪い要素の差を広げることにあります」と続ける。

 

コーチ陣の意見

元全米王者のジェイソン・ブラウンのコーチである、コリ・アデは懐疑的である。

「改革の意図が芸術性に重きを置くものなのであるとしたら、プログラムの長さを短縮するのは本末転倒です」とアデは語る。「芸術性を可能にするには時間がかかります。ジェイソンのようなスケーターが音楽を通じてストーリーを伝える時などがその一例です。彼にとっては今の長さがストーリーに入り込むのに適しています」

世界王者であるハニュウとフェルナンデスを指導するブライアン・オーサーも同様に、プログラムの短縮はスケーターとしての理想形である「トータルパッケージであること」を示すことがより困難になると考える。

「全ての要素をやり抜き、繋ぎ・振り付け・意味付け・演技のまとまりに対して注意を向けたプログラムを演じるにはとても優れたスケーターになる必要があります」とオーサーは語る。「トップスケーターでさえもこれを実現するには非常に難しくなるでしょう。現に私のジュニア男子の生徒は(トータルパッケージなプログラムを目指す上で)シニアのロングプログラム(4分30秒)の方が、ジュニアのプログラム(4分)よりも簡単だと言います」

また、オーサーは「ISUがどこに向かおうとしているかはわかる」と語った。「彼らは、ただ4回転ルッツや4回転フリップを跳ぶというやり方で得点稼いだ選手ではなく、全てにおいて偉大なスケーターを王者にしたいのでしょう」

 

今後の動き

Bianchettiによると、これら全ての新しい規則を評価するためのテストイベントが開かれる見通しだ。ショートプログラムとフリープログラムを置き換える案に関しては2020年の総会に間に合わせるのはできるかどうかわからないとのことである。

昨年一つのプログラムで初めて5本の4回転を降り、6本目の挑戦を試みたネイサン・チェンは来る改革について考えることよりも、目下の五輪シーズンに専念しているという。

現状のフィギュアスケートは競技的な側面に偏り過ぎていないかという質問に対してチェンは「ある程度はその通りだと思います。いまのところとても競技性が強いですが、実のところ僕はそれはとてもクールなことだと感じます。フィギュアスケートにたくさんの注目が集まるきっかけになりますし、個人的には見ていて楽しいです。ただ、それは見ている人にも依存すると思います」

 

●以下はISUが提案する4回転のあらたな基礎点を示しています。これらは暫定的なものであり、当然最終的な決定が下されるまでに改訂される可能性があります。

技名今季の基礎点提案の基礎点
4T10.39.5
4S10.59.7
4Lo12.010.5
4F12.311.0
4Lz13.611.5
4A15.012.5
3T4.34.2
3S4.44.3
3Lo5.14.9
3F5.35.3
3Lz6.05.9
3A8.58.0
4T(スロー)8.26.5
4S(スロー)8.26.5
4Lo(スロー)8.77.0
4F(スロー)9.07.5
4Lz(スロー)9.07.5

 

 

管理人の感想

 

遂に詳しく書かれた記事が出たぞということで、記事を翻訳してみました(全てを翻訳しているわけではありませんので、全てを確認したいという方は元記事を御覧ください)。

現状のショート&フリーシステムを競技的プログラム&芸術的プログラムシステムに変更するという案に関しましては、記事を見る限り実現されるにはかなりのまだかなりの時間がかかりそうなのでここではあえて感想は書かないこととしますが、その他のGOE11段階拡大案であったり(こっちは承認済み?)、ジャンプ基礎点の大幅の変更案(未承認)については思った事を書いていこうと思います。

 

まず前者についてです。GOE係数(+3とか+1とか)の数を増減させる際に最も重要になるのは、実際に点数に落とした時に各係数間でどのくらいの開きがあるのかという事になりますが、元記事によりますと各係数間で基礎点の10%分の開きがあるようです。提案は+5~-5ですので、つまり最大値は基礎点の1.5倍の点数がとれ、逆に最小値としては基礎点の半分しかとれないことになります。

これって、冷静に考えるとえげつない幅です。例えば、新ルールで4TでGOE+5を得たとしますと、9.5×1.5 = 14.25点となります。今季のルールの最高点は基礎点10.3+3.00 = 13.30ですので、最大点としては新ルールの方が1点近く大きくなります。

が、一方で、新ルール下で派手に転倒したとしましょう。派手な転倒はおそらく-5なると思いますので僅か9.5×0.5 = 4.75点になってしまいます。これは実に3Loの基礎点にも満たない数字であり、現状のルールの最小値である10.3 – 4.00 = 6.30に比べると非常に小さな得点になることがわかります。

これらをまとめますと、同じ4Tであったとしても、なんと14.25点 ~ 4.75点の幅があることになります。その差なんと約10点。10点ですよ。

これが如何にとんでも無い数字かというのはなんとなくお分かりいただけるかと思います。

現時点でかなり高い質でジャンプを跳べる選手は、さらに磨きをかけることで得点が爆発するでしょう。それはもう猛烈な勢いで。しかしながら、質がそれほど高くないとなりますと、少なくとも現状より技術点が落ちますのでトップと差がガバっと開くという風になるだろうと予想しています。

 

さて、最後に後者の基礎点の減点案について少しばかり書いて置こうと思います。

まず、ジャンプの基礎点を全体的に低めに設定するというのは仕方がないと思います。これだけGOEの加点幅が広くなるわけですし、またISUの意向としては演技構成点と技術点の割合をだいたい同じくらいにしたいようですので、これを実現するには基礎点を下げる以外に選択肢は無いと思います。

ただ、少し「ん?」となるのが4回転ジャンプの種類で減点の割合に大きな差がある点です。例えば4Tは約8%減点されるのに対し、4Lo、4F、4Lzはそれぞれ12.5%、10.5%、15.4%とかなり削減されています。なぜ4Lzは4Tの2倍近い割合で減点されるのかとか、何故4Loは4Fよりも減点の割合が大きいのかとか、この数字はどこからきたのかと少しモヤっています。

4回転ループ、4回転フリップ、4回転ルッツといったこの3つのジャンプはこれだけレベルが上がった現在でも挑戦する選手はほんの一握りですし、冷静に考えるとコンスタントに成功できる選手なんて5人いるかいないかというレベルだと思うのですが、それなのに減点の割合は4Tより大きいというのは何故?というのが僕の率直な意見です。肥大化した技術点の割合を小さくすることと難しいジャンプへの評価を小さくすることは違うのではないかと感じます。

ここで書いたのは僕の個人的な意見となります。いろんな方がいろんなブログでとてもおもしろい考察を書かれていますので、時間があればそちらもご覧いただければより理解が深まるかと思われます。

それではまた!

 

 - ◯その他フィギュア関連ニュース, ◯フィギュアスケート

たつまに
男でフィギュアスケートにハマってしまった学生。羽生結弦選手は、人間としてもスポーツマンとしても、尊敬している人物です。。twitterもしていますので、フォローしていただけると嬉しいです↓↓

Comment

  1. riku より:

    いつも楽しく記事を読ませていただいています。
    私にはおそらくたつまにさんと同年代と思われる息子がいます。
    私よりウン10年遅れてフィギュアを見ているはずのその息子のほうが、ジャンプやステップの種類をきっちり見分けているのに最近気が付きました。
    あまり興味なさそうに見ている夫も回転不足を指摘してきて驚かされることもあります。
    男性のほうが冷静に足元を良く見ているのでしょうか。学びが早いです。(笑)

    平昌以降のルール、ずいぶん思い切った改正をするようですね。
    ジャンプの種類ごとの基礎点変更はまだ決定ではないようなので、色々な声を聴いて
    不公平感の少ない落としどころをさぐってほしいですね。

    たつまにさんは、若いのに穏やかででニュートラルな文章をかかれるので、
    このブログを読んで嫌な気分になることがありません。
    ライスト情報も頼りにしています。
    これからも更新楽しみにしていますね。

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